【英語学習】スティーブ・ジョブズの名スピーチを読んでみよう【解説】

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スティーブ・ジョブズ氏の有名なスピーチをご存知でしょうか?

56歳という若さで亡くなったスティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学の卒業式での感動的なスピーチが語り継がれています。

全文読むのは大変かもしれませんが、ポイントだけ抜粋しました。どんなスピーチで、何を語ったのか、気軽に触れてみませんか?

ビル・ゲイツから見たスティーブ・ジョブズ

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツは、1955年生まれの同じ年齢です。
才能と努力で誰もが成功を成し遂げられる自由の国アメリカで、現代の『アメリカンドリーム』を体現した二人ですね。

ジョブズ氏が56歳という若さで亡くなったことは、とても残念なことです。

私が初めてパソコンを手にしたのはWindows95でした。まだまだパソコンなど使い方もわからないし、何ができるのかもわからないといった時代でしたが、「新しもの好き」だった私と当時60歳近かった母は、お互いに我先にとパソコンを手に入れました。そこから、98、2000、XP、Vista、8、10と使い続けています。

最初は電話線でつないでいたので、インターネットに接続すると「ピーピロピロピロ」と電話をかけるような音がしていました。インターネットを使っていると電話が話し中になってしまうので、携帯電話がまだあまり普及していなかった当時は結構不便を感じていました。今思うと、電話回線でインターネットなんて、とても信じられないですよね。

パソコンもすぐフリーズしてしまい、ドキドキしながら強制終了したり、アプリケーションのインストールも手動だったので、やり方がわからず戸惑ったりしながらも、とにかく面白くて色々なことに挑戦してきました。

今でもそうなのかもしれませんが、普通の家庭のパソコンはマイクロソフトのWindowsで、Macintoshを使っている人は「プロ」の人達という印象で、私はWindowsしか使ったことはありません。

スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツはお互いを大いに意識し、仲間だったこともあれば、ライバルだったこともありました。私はこの業界のことには詳しくないので、AppleとMicrosoftの関係やソフトウェアについて語ることはできないので、2007年5月に実現した二人の対談から、ビル・ゲイツがスティーブ・ジョブズについて語っている言葉を取り出してみました。

対談会場の視聴者からの「ビジネスを進める上で、相手より先に気付けばよかったと思ったことや、相手から学んだことは何ですか?」という質問に対するビルの答えです。

Well, I’d give a lot to have Steve’s taste. [laughter] He has natural–it’s not a joke at all. I think in terms of intuitive taste, both for people and products, you know, we sat in Mac product reviews where there were questions about software choices, how things would be done that I viewed as an engineering question, you know, and that’s just how my mind works. And I’d see Steve make the decision based on a sense of people and product that, you know, is even hard for me to explain. The way he does things is just different and, you know, I think it’s magical.

会話の書き起こしなので、自由度の高い表現になっています。
最初のI’d give a lot to have Steve’s taste.のI’dはI wouldの略で、wouldを使うことで想像や架空のことを表しています。tasteには味覚という意味がありますが、ここでは日本語のセンスという意味で使われています。

「私にスティーブのようなセンスがあったらなと思うよ。生まれながらのセンスが彼にはある。本心だよ。人と物に対する直感的な判断力っていうのかな。マック製品のプロダクトレビューを一緒にやったけど、ソフトウェアの選択や物事がどう進んでいるのかについて、私はエンジニアの視点でから考える。それが私の考え方なんだ。言葉で説明するのは難しいことだけど、スティーブは人や物に対する直感で決断していたと思う。彼のやり方は他とは全然違うんだ」

スティーブ・ジョブズの名スピーチ

スティーブ・ジョブズのスピーチと言えば、2005年にスタンフォード大学の卒業式でのスピーチが有名です。彼自身はスタンフォード大学の卒業生ではありません。ジョブズ氏はオレゴン州のリード大学を中退しています。

3つのポイントで語られているスピーチです。
ポイントだけですが取り出してみたいと思います。

まず導入部分

I am honored to be with you today at your commencement from one of the finest universities in the world. I never graduated from college. Truth be told, this is the closest I’ve ever gotten to a college graduation. Today I want to tell you three stories from my life. That’s it. No big deal. Just three stories.

大学を卒業していないことがこの部分からわかります。
「(この日ここにいることが)大学の卒業を間近に感じた最初の経験だ」と言っています。

No big deal.は、「大したことではない」という意味で、通常の会話でも、「本当にありがとう!」とか「本当にごめんなさい」などの返答としてIt’s no big deal.と使えます。

スピーチは3つのポイントに絞られて語られています。それぞれのポイント部分だけ取り上げて見てみましょう。

The first story is about connecting the dots.「1つ目は点と点を繋げるということ」

The first story is about connecting the dots.
~中略~
Again, you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.

~中略~の部分では、生まれて養子にだされたこと、大学に入ったが興味のない授業を受けることに抵抗があり退学を決め、その後は生活に苦労しながらも大学に居座り興味ある授業だけに出続けたこと。その経験が現在の自分に役立っていることなどの具体的な話が語られています。

後半部分は内容的には難しくないので、読めば大体のイメージはつかめると思います。

「繰り返しますが、将来を見据えて点と点を繋いでいくことはできません。後から繋ぐことしかできないのです。だから、未来のどこかでその点が繋がっていくことを信じるしかありません。直感、運命、人生、カルマ、そういった何かを信じなければいけないのです。私はこのやり方で上手くいかなかったことはありません。この方法で私の人生は一変したのです。」

 このトランスクリプトでは、looking forwardのあとに;がついています。

名前覚えていますか?そう。セミコロンです。
では、;(セミコロン)と:(コロン)の使い方を簡単に思い出しておきましょう。

;(セミコロン)は、コンマのような働きをしますが、コンマではつながり過ぎ、ピリオドでは離れすぎてしまう場合に使われます。
ここでは、looking forwardの節とlooking backward節は完全に切り離すものではないけれど、単に単にコンマで繋ぐよりは、少し対比させたいという感じで使われています。

因みに:(コロン)は、セミコロンとピリオドの間の区切り度合いを表します。新しい話ではなく、前の文に説明を加えたり、例を挙げたり、引用文を導いたりします。

My second story is about love and loss. 「2つ目は愛と喪失について」

My second story is about love and loss.
~中略~
I’m pretty sure none of this would have happened if I hadn’t been fired from Apple. It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith. I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. Don’t settle. As with all matters of the heart, you’ll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don’t settle.

~中略~の部分では、アップルを解雇になり、失意の中、自分がやって来たことが好きだった気持ちがもう一度挑戦へと導いてくれた。解雇を経験したからこそ新たな挑戦者になることができ、NeXTやピクサーの立ち上げ、妻との出会いがあり、再びアップルに戻ることになった話が語られています。

中盤より少し後ろの下線の部分は少しややこしいでしょうか。
the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work
the only way to do great work is to love what you do.

the only wayは唯一の方法なので、「これ以外他に方法はない」とも言い換えられます。
上段の文は「本当に満足するための唯一の方法は、あなたが素晴らしい仕事だと信じていることをすることだ」
下段の文は「素晴らしい仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ」となります。

 少し長めの英文ですが、意味は以下のようになります。

「アップルを解雇されなければ、今の私はなかったことは確かです。(その経験は)とても苦い薬でしたが、患者(自分のこと)には必要な薬だったのだと思います。人生においては、レンガで頭を殴られたような経験をすることもあります。しかし信念を失ってはいけません。私がここまで続けてこられたのは、私が自分のやって来たことを愛していたからに他なりません。皆さんも大好きなことを見つけてください。そしてそれは、愛する人に対しても同じです。仕事は人生において大きな位置を占めていくことでしょう。本当の満足を得るには、素晴らしい仕事だと信じる仕事をするしかありません。そして素晴らしい仕事をするには、自分の仕事を愛するしかありません。もし、まだ好きなことが見つかっていないなら探し続けて下さい。立ち止まってはいけません。それが見つかった時には、自分の心で感じ、気づくものです。素晴らしい恋愛関係のように、時間と共に良くなっていくものです。だから見つけるまで探し続けて下さい。立ち止まってはいけません。」

My third story is about death. 「3つ目は死について」

My third story is about death.
When I was 17, I read a quote that went something like: “If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.” It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.

最初の部分はわかりやすいのではないでしょうか。
17歳の時に読んだという言葉“If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.”は、「この日が自分の最後の日だと思って生きれば、いつか必ず思った通りになる」ということですね。

そしてその言葉に感銘を受け、33年間、ジョブズ氏が自分に問いかけたと言う言葉は以下です。
“If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?”

 ここでピンと来た人は、受験勉強を頑張った人かもしれません。

「仮定法過去」です。事実と違うことを表す用法です。

If I were a bird, I would fly to you. と勉強したあれですね。
基本形は、<If + 主語 + 動詞の過去形・・・, 主語 + would(should、could、mightなど)+ 動詞の原形>となります。

「(今日が最後の日ではないけれど)もし最後の日であったとしても、今からしようとしていることをしたいと思うか?」という意味です。
about to~は、「今まさに~しようとしている」という意味になります。

先に紹介した17歳の時に出会った言葉も、as if の後が過去になっています。これも仮定法の用法です。
この後、このスピーチの1年前にガンと診断されショックを受けたこと、運よく治療可能なガンだったこと、その時感じたことなどが語られます。

そしてスピーチは以下のように続きます。

No one wants to die. Even people who want to go to heaven don’t want to die to get there. And yet death is the destination we all share. No one has ever escaped it. And that is as it should be, because Death is very likely the single best invention of Life. It is Life’s change agent. It clears out the old to make way for the new. Right now the new is you, but someday not too long from now, you will gradually become the old and be cleared away. Sorry to be so dramatic, but it is quite true.
Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking.

誰も死にたくないが、誰も死から逃れられないと言った後にこう言っています。下線の部分です。

「死は命の最高の発明と言えるのではないでしょうか。死が生命に変化をもたらすのです。古いものを処分し新しいものを生み出します。今、その新しいものとはあなた方です。しかし、それほど遠くない未来、少しずつ古いものとなり消えていくのです。仰々しい話になりましたが、本当のことです。あなたの時間は限られています。他人の人生を生きてその時間を無駄にしてはいけません。ドグマでがんじがらめになってはいけません。ドグマに縛られるとは他人の考えに従って生きることです。」

本当にその通りだと思います。そう思っても、なかなかそう生きられない人の方が多いのが現実かもしれませんね。

私にも年甲斐もなく目標があるので、そこに向かって今日が最後の日だと思って努力していこう!と思いましたが、これまでの人生で何度同じ決意を新たにしたことか…。

The Whole Earth Catalog 全地球カタログ

スピーチの最後は有名なフレーズで締めくくられます。

When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalog, which was one of the bibles of my generation.
~中略~
Stewart and his team put out several issues of The Whole Earth Catalog, and then when it had run its course, they put out a final issue. It was the mid-1970s, and I was your age. On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous. Beneath it were the words: “Stay Hungry. Stay Foolish.” It was their farewell message as they signed off. Stay Hungry. Stay Foolish. And I have always wished that for myself. And now, as you graduate to begin anew, I wish that for you.

Stay Hungry. Stay Foolish.
Thank you all very much.

ジョブズ氏世代のバイブルだというThe Whole Earth Catalogとは、1968年にアメリカで発刊された雑誌です。Stewartというのはこの雑誌の創刊者です。

ジョブズ氏のこの有名なスピーチの一節、Stay Hungry. Stay Foolish.は一般的に「ハングリーであれ、愚か者であれ」と訳されていますが、この一節は、1970年代半ばで廃刊となったこのThe Whole Earth Catalogの最終巻の背表紙からの引用だったんですね。

下線の部分です。

「最終巻の背表紙に早朝の田舎町の写真が載っていました。冒険好きな人がヒッチハイクして目にしそうな風景の写真でした。その写真の下に『ハングリーであれ、愚か者であれ』とありました。制作者からからの最後の別れのメッセージでした。ハングリーであれ、愚か者であれ。私はいつもそうありたいと願ってきました。そして今、新たな人生が始まる卒業生の皆さんにもそうあってほしいと願っています。」

まとめ

亡くなった今でも、私たちに影響を与え続けているスティーブ・ジョブズ氏、今健在であったら、どんな驚きを私たちに与えてくれていたのでしょうか。

最後に2つ、ジョブズ氏の名言を紹介します。

まず、2003年ニューヨークタイムズのインタビューでの言葉です。

Design is not just what it looks like. Design is how it works.
「デザインとは、どう見えるかということではない。デザインとは、どう機能するかということだ」

そして1993年のウォールストリートジャーナルのインタビューでは以下のように語っています。

Being the richest man in the cemetery doesn’t matter to me. Going to bed at night saying we’ve done something wonderful, that’s what matters to me.
「墓場で金持ちになることには興味はない。夜寝る時に『素晴らしいことをしたんだ』と言えることが私にとって大切なのだ」

スタンフォード大学のスピーチの全訳と全文はこちらの日本経済新聞の記事で確認できます。
» 「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳/

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