【英語学習】トランプ大統領 vs 北朝鮮【スピーチから学ぼう】

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トランプ大統領の発言が気になりませんか?
アメリカが世界に与える影響力は絶大です。トランプ大統領の書簡で米朝首脳会談の中止が伝えられました。

世界平和を考える上で無視できないアメリカと北朝鮮が、どんな言葉で駆け引きをしているのでしょうか?ハラハラするほどストレートな言葉の応酬を英語で感じてみましょう。

中止が発表された米朝首脳会談

史上初のアメリカと北朝鮮の首脳会談開催決定が世界を驚かせてから、事の成り行きを気にしながら見守っていた人も多いのではないでしょうか?

やはり、なかなか簡単にはいかないようです。アメリカから中止が発表されました。とは言え、まだまだ駆け引きは続いているようで、この先どうなっていくのか目が離せません。

トランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長宛てに、会談の中止を申し入れた書簡がニュースを賑わしていますが、この書簡は比較的易しい英語で書かれていますので、一通り英語を学習した方なら、初級者でも読みやすいと思います。

まず、はっきりと趣旨を伝え、少し和らげ外交上の話をし、この結果が残念だというように結ぶあたりは、ビジネスレターとして見ても勉強になる部分があるかもしれません。

トランプ大統領の北朝鮮に宛てた書簡

下記に全文を掲載します。
まず、最初のパラグラフです。途中解説を挟んでいます。

We greatly appreciate your time, patience, and effort with respect to our recent negotiations and discussions relative to a summit long sought by both parties, which was scheduled to take place on June 12 in Singapore. We were informed that the meeting was requested by North Korea, but that to us is totally irrelevant. I was very much looking forward to being there with you. Sadly, based on the tremendous anger and open hostility displayed in your most recent statement, I feel it is inappropriate, at this time, to have this long-planned meeting.

最初に開催予定だった会談に向けてのどれまでの努力に感謝を示し、中止にする理由を述べています。

下線の部分で理由となった「(北朝鮮の)発言に示された大きな怒りと敵意」について述べ、中止を申し渡しています。この発言についても、後程触れたいと思います。

Therefore, please let this letter serve to represent that the Singapore summit, for the good of both parties, but to the detriment of the world, will not take place.

serve to~で「~する働きをする」となります。take placeは、学生時代覚えた人も多いと思いますが、「開催される」と言う意味です。「この書簡に中止を伝える働きをさせる」という言い回しになります。

英語では、少し回りくどい言い方をすることも多いのですが、イメージが沸いたら、日本語で考える時は日本語らしく品詞も変えて「この書簡をもって(中止を)お伝えします」というニュアンスで考えた方がわかりやすいです。

そして第1パラグラフは次のように結ばれます。

You talk about nuclear capabilities, but ours are so massive and powerful that I pray to God they will never have to be used.

ここではso that構文が使われています。
結果と程度で2つの訳し方が可能でしたね。

  • 結果:我々の(核)は、とても強大で強力だから、決して使わずに済むように神に祈る
  • 程度:我々の(核)は、決して使わずに済むように神に祈るほど強大で強力だ

ここでは、結果の用法として考えるのが妥当ではないでしょうか。大きさや強さを自慢する段階ではなく、実際にそれを使う可能性を示唆する段階に来ていると思います。

前半に、You talk about nuclear capabilities(あなたは核の能力について語るが)とありますが、北朝鮮が核について触れた発言についても後程触れます。

そして第2パラグラフに続きます。

I felt a wonderful dialogue was building up between you and me, and ultimately, it is only that dialogue that matters. Someday, I look very much forward to meeting you. In the meantime, I want to thank you for the release of the hostages who are now home with their families. That was a beautiful gesture and was very much appreciated.

下線部のultimatelyの後は少し難しいでしょうか。

matterは物質や事柄、事件を表したりと、日本人には感覚がつかみにくい単語ですが、「重大な事柄」や「考慮すべき事柄」も表します。

つまり「最終的に、その対話こそが重要なのだ」となります。そして、北朝鮮が拘束していたアメリカ人を解放したことについての歓迎の意も述べられています。

If you change your mind having to do with this most important summit, please do not hesitate to call me or write. The world, and North Korea in particular, has lost a great opportunity for lasting peace and great prosperity and wealth. This missed opportunity is a truly sad moment in history.

もし気持ちが変わったら、いつでも電話、或いは手紙をくれと言った後、「世界平和のための大きな機会を失ったことは、歴史上のとても悲しいことだ」と結んでいます。

大体のイメージをつかんでいただけたでしょうか?
是非、辞書を片手にご自分なりに一通り読んでみて下さい。

※全文の日本語訳はトランプ米大統領書簡の全文:時事ドットコムを参考にして下さい。

北朝鮮による発言(アメリアが怒った要因)

さて、アメリカが怒った大きな原因に、北朝鮮の外務次官の発言があると言われていますが、その一部も紹介しておきます。

I cannot suppress my surprise at such ignorant and stupid remarks gushing out from the mouth of the US vice-president.

gush はflowと似ていて「勢いよく流れ出る、噴出する」という意味になります。
アメリカ副大統領の口から勢いよく飛び出すのがignorant(無学の・知識や経験を欠く)and stupid remarks(意見)ということです。おまけにsuchまでつけて強調しています。

「こんなに無知で馬鹿な発言を繰り返す副大統領に驚きを抑えられない」

Whether the US will meet us at a meeting room or encounter us at nuclear-to-nuclear showdown is entirely dependent upon the decision and behavior of the United States.

nuclear-to-nuclear showdownのshowdownについてニュアンスを調べてみました。
Collinsには下記のようにあります。

A showdown is a big argument or conflict which is intended to settle a dispute that has lasted for a long time.
「解決するつもりがある長い間続く大きな論争や紛争のこと」

「アメリカが対話の席に着くにしても、或いは核対核の最終決着をつけることになるにしても、すべてアメリカの決定と態度次第だ」

かなり過激な発言です。
この発言が、トランプ大統領の書簡のYou talk about nuclear capabilities, but ours are so massive and powerful that I pray to God they will never have to be used. に繋がったんですね。

もちろん、今回の米朝首脳会談の中止については、この発言=原因とは言えず、これまでの積み重なる問題があってのことだと思います。

今こうしている間も、事態は刻々と変わっています。予定通り会談を行う可能性があるとのトランプ大統領の発言も報道されています。いずれにしても、どのように事が進んでいくのかわかりません。

トランプ大統領の北朝鮮に対するこれまでの発言

トランプ大統領の北朝鮮に関するこれまでの発言で大きな話題となったのが、ミサイル実験を繰り返す金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだことです。

2017年9月19日の国連総会の一般討論演説でも同様の表現を使っています。
一部抜粋しました。まずは北朝鮮による、これまでのさまざまな事件について言及しています。

皆さんも知っているはずの事件ですので、日本語訳を載せなくても意味はつかんでいただけると思います。

日本語を読む時も同じですが、全く知識のないことについて読む時と、知っていることについて読むときでは理解度も全然違います。

We were all witness to the regime’s deadly abuse when an innocent American college student, Otto Warmbier, was returned to America only to die a few days later. We saw it in the assassination of the dictator’s brother using banned nerve agents in an international airport. We know it kidnapped a sweet 13-year-old Japanese girl from a beach in her own country to enslave her as a language tutor for North Korea’s spies.

下線部のonly to~は「結果」を表していて、「結局ただ~する結果となる」という意味になります。オットーさんは、北朝鮮で拘束中に脳に損傷を負った状態で帰国したものの、数日後に亡くなっています。

北朝鮮で拘束され、解放されるも帰国直後に死亡した前述のオットーさんの事件、金正男氏の暗殺事件、そして拉致された横田めぐみさんについて語っています。
そして核やミサイル開発について触れたあと、下記のように続きます。

The United States has great strength and patience, but if it is forced to defend itself or its allies, we will have no choice but to totally destroy North Korea. Rocket Man is on a suicide mission for himself and for his regime. The United States is ready, willing and able, but hopefully this will not be necessary. That’s what the United Nations is all about; that’s what the United Nations is for. Let’s see how they do.

「アメリカには大きな力と忍耐力がある。しかし、自国や同盟国を守ることを余儀なくされるなら、北朝鮮を完全に崩壊するしかない。ロケットマンが自分自身や自国のためにやっていることは自殺行為だ。アメリカの準備はできている。攻撃することも厭わない。その能力もある。しかし、そうする必要がないこと期待している。国連の存在意義はそこにある。国連はそのためにあるのだ。国連のお手並み拝見しよう。」

少し後半日本語にしにくいですね。
The United States is ready, willing and able, but hopefully this will not be necessary.

この1文のwillingとhopefullyについてですが、
willingについてCollingsで調べてみると下記のようにあります。

If someone is willing to do something, they are fairly happy about doing it and will do it if they are asked or required to do it.

「喜んで~する」というイメージが大きいかもしれませんが、条件付きなんですね。if they are asked or required to do it.つまり、「そうしてくれと言うなら、喜んでします」というニュアンスです。

また、hopefullyについて調べてみると下記のようにあります。

You say hopefully when mentioning something that you hope will happen. Some careful speakers of English think that this use of hopefully is not correct, but it is very frequently used.

「(実際は難しいかもしれないけど)~だといいな」という感じかと思いますが、興味深いのは後半の、「some careful speakers of Englishはこの使い方は間違いだと思っている。しかしとても良く使われる使い方だ」という点です。

本来文頭に置いたりしてこのような使い方をする副詞ではなかったけれど、時代と共にこのような使われ方が確立されてきたとのことのようです。日本語にも使い方が変わって来た言葉がありますが、言葉はどんどん変化しているんですね。

それから最後のLet’s see how they do.はトランプ大統領の発言なので、少し意地悪く訳しましたが、ニュアンスとしては「様子をみよう」という感じです。

北朝鮮の反応

この国連でのスピーチの翌日、BBCが北朝鮮の反応を載せています。

North Korea’s top diplomat has called US President Donald Trump’s speech to the UN “the sound of a barking dog”.

北朝鮮の外交官は、トランプ大統領のスピーチを「犬の吠え声」と表現しました。
日本語でも、臆病者が陰でコソコソ陰土を言ったりすることを「犬の遠吠え」と言ったりしますが、英語にも同じようなことわざがあります。

A barking dog seldom bites. 「吠える犬は滅多に噛まない」

「吠えて脅すけれど、実際には何もできない」という意味です。

seldomは「頻度が低いこと」を表す単語で、「滅多に~しない」という意味になります。rarelyも同じような意味です。でも、「滅多に噛まない」ということは「まれに噛むこともある」ということですよね。考えれば考えるほど、不安になってしまいます。

何だか子供の喧嘩のようですが、世界に与える影響を考えると子供の喧嘩ではとても済ませれません。

2018年6月の米朝首脳会談は中止となりましたが、これからどのように進展していくのでしょうか。トランプ大統領と北朝鮮の言葉の応酬に注意を向けて、日本人として注意深く見守っていきましょう。

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