【考察】幼児の英語教育について考えてみた【動画あり】

子どもの英語教育
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将来のお子さんの英語力が心配ですか?グローバル化が叫ばれる昨今、英語教育の低年齢化も加速しています。小学生でも英語が授業に組み込まれるようになりました。子供への英語教育について、 親としての心構えを考えてみましょう。

幼児の英語教育について考える

今の私たち大人にとっての英語学習は、コミュニケーションツールである言語としての英語というより、国語や数学、歴史などと並んで学校で習う一つの教科という意識が強かったのではないでしょうか。今でも変わりませんが、受験においても、常に最重要科目の位置づけだったため、一生懸命机上の勉強に励んだものでした。

インターネットの普及もあってか、グローバル化は急速に進み、今後の日本の経済を支えていくグローバル人材の不足も問題視されています。今の子供が成長した時には、学習した英語を、いかに実生活で使いこなせるかが重要視されるようになるでしょう。そんな中で、英語教育開始時期も自然と低年齢化する傾向にあります。

英語と日本語の違い

まず、最初に考えたいことは、日本語と英語では、言語として違う部分が多すぎるということです。

簡単に言ってしまえば、大きな違いとして、表記・文法・発音の3つが思い浮かびます。表記に関しては、アルファベットを使う、使わない、という明確な違いがありますが、アルファベットには日本人も子供の頃から馴染んでいると思います。

言葉を構成する文法ですが、この違いは皆さんも嫌というほど感じていることでしょう。そして発音。詳しい解説は省きますが、これがまた厄介ですね。rightもlightも日本語では「ライト」ですし、bathもbusも日本語では「バス」です。文法は学校で学べても、リスニング力や発音を鍛える難しさが幼児教育に向けさせる大きな要因でもあるはずです。

歴史をたどれば、英語と同じ言語につながるヨーロッパの言語を話す人が英語を学習する場合、私たち日本人と、スタート地点はだいぶ違います。とは言え、ヨーロッパとの比較ばかりでなく、アジアでも日本人の英語力は低いという現実があるので「仕方ない」で片づけてはいけないのですが、このような「仕方ない」事情が、英語が苦手な日本人の根底にあることを大前提としなければいけないのだろうと感じています。

幼児教育で英語学習における問題を克服できるのか?

このような「仕方ない」事情は、小さな頃からの教育で克服できるのでしょうか?色々な専門家の意見を読んでみましたが、「私にはわからない」というのが正直なところです。

そんな中で、興味深いTED動画を見つけました。音声科学の専門家であるワシントン大学のパトリシア・クール教授による、赤ちゃんの言語習得に関わるスピーチです。

パトリシア・クール「赤ちゃんは語学の天才」

このスピーチによれば、言語習得にはCritical period、つまり「臨界期」があるということです。臨界期を調べてみると、コトバンクには下記のように載っています。

「生体の発達の比較的初期において,ある刺激 (経験) が与えられたとき,その効果が最もよく現れる時期をいう」

クール教授は、第二言語の習得能力は7歳までが天才的で、その後は一気に下がっていくと語っています。興味深いのは、アメリカに住む赤ちゃんと東京に住む赤ちゃんに対し、「r」と「l」の聞き分けテストを行った結果です。

どんな言語でも習得できる赤ちゃんの脳

生後8ヶ月頃までの赤ちゃんでは、聞き分ける力にほとんど差は出ませんでした。でも2ヶ月後、同じ実験を行うと、アメリカの赤ちゃんは聞き分け力が上がっているのに対し、東京の赤ちゃんは下がってしまいました。

この2ヶ月が、まさに赤ちゃんが自分の言語を学ぶ準備を初める2ヶ月とのことです。この実験に伴い、日頃お母さんが赤ちゃんに話しかけている英語と日本語の音の分析結果について、英語のrとl、日本語のラリルレロにいかに違いがあるかにも言及しています。

どんな言語でも習得できる赤ちゃんの脳は、この時期に母国語の音を統計的に吸収し、言語や文化に縛られた私たち大人の脳へと少しずつ変わっていくということです。

他の言語を聞かせたらどうなるのか?

では、この時期に新たな別の言語を聞かせたらどうなるのでしょうか?そこで教授が行った実験は、中国語を聞いたことのないアメリカの赤ちゃんに、生後8ヶ月過ぎ頃から中国語を聞かせる実験です。1ヶ月間、親戚が遊びに来ているかのように中国語で赤ちゃんをあやすセッションを12回行いました。すると、2ヶ月後には、普通に中国語環境で暮らした赤ちゃんと同じレベルまで、中国語の音の聞き分け成績があがりました。この時期に新たな言語でも、吸収できることを示しています。

この学習過程で人間の果たす役割とは

そこで教授が疑問に思ったことは、この赤ちゃんの学習能力に、人がどんな役割を果たしているのかということです。次の実験は、同じの月齢の赤ちゃんに、同様に中国語を聞かせる実験です。但し、今度は直接人が行うのではなく、テレビ画面を通して中国語を聞かせました。すると、ほとんど効果がないという結果がでました。また、音声だけを聞かせたグループについても、全く効果は表れませんでした。
つまり、赤ちゃんがこの時期に聞いた言語の音を統計処理するためには、「人」の存在が必要ということです。

また、ネイティブの発音への憧れが強い日本人の発音コンプレックスも日本人が英語を口に出したくない自信喪失の要因になっているのかもしれません。

英語学習に関する著書も多い東洋英和女学院大学の高橋基治教授の論文『第二言語習得研究からみた発音習得とその可能性についての一考察―臨界期仮設と外国語訛りを中心に―』によれば、文法や語彙などは理解力のある大人の方が有利に学習を進められますが、大人になってから、ネイティブなみの発音を習得する難しさが語られています(できる人もいるようです)。

訛りのないネイティブの発音で話せるようになるには、様々な考え方があるものの、6歳以前、遅くても12歳までにその言語に触れなければ難しい、と一般的に言われているようです。
» 論文PDFはこちら

子供の可能性は無限大ですね。上記の研究結果から、特にリスニングと発音に関しては幼児期に学ぶことで、楽に身につけられることがわかります。

幼児の英語教育において焦りは禁物

でも、これらの研究結果を聞いて、もう遅い!と焦ったり、すぐに始めなきゃ!と慌てたりしないで下さい。

クール教授のスピーチは、言語を習得するにあったての赤ちゃんの脳の働きについての研究結果の報告であって、幼児教育の重要性を語るものではありません。赤ちゃんは、いつも近くで声をかけてくれるママやパパ、兄姉を近くに感じることで、言語の音を吸収していくのですから、赤ちゃんは既にコミュニティの一員として脳をフル稼働させているということだと思います。吸収するべきことは言語ばかりでないはずです。

高橋教授の論文も、言語習得の視点から学問としての研究結果がデータとして示されているもので、正しい第二言語の教育法について語るものでもなければ、ネイティブライクな発音で話せることの大切さを説くものでもありません。忘れてはいけないことは、この論文の実験は、英語圏の移民に対して行われたデータなどが主になっていて、日本の英語教育に関するものではないということです。

遅くても12歳まで…?

遅くても12歳までに英語に触れるといっても、移民として英語圏で暮らす子供と英語教材で英語に触れる日本の子供の環境は比べられないということです。脳が受け付けなくなるかのような話を聞けば焦ってしまう一方かもしれませんが、この論文では、大人になってからでもネイティブライクな発音を取得できる臨界期懐疑論側の視点からも語られています。

確かに、子供の脳に素晴らしい吸収力があることは事実です。英語習得に、小さな頃からの英語環境が大切なことも本当のことでしょう。でも、言語はコミュニケーションツールであり、言語を学んでいくためには、親子をはじめとした人間同士の濃密なやりとりが必要になることも、また事実です。

子供の将来を考える気持ちも、同じ親として良く理解できます。英語教育そのものは悪いことではなく、むしろ少しでも多くの機会を与えてあげてほしいと思います。ただ、どのような教育をするにしても、大切なことは他にもあるということを、時々立ち止まり冷静に考えてみる余裕を持つことは必要なことではないでしょうか。

特に加熱する英語教育については、まわりに振り回されず、購入した教材を頼りにするばかりでなく、親がお子さんと一緒に英語を楽しみ、自然と子供が英語に対する興味を継続できるような教育を考えてみて下さい。

歌の上手な子がいれば、なかなか上手に歌えない子もいます。放っておいても語学に興味を持つ子もいれば、期待に応えてくれない子もいます。私も親なので実感できますが、親の思いを子供に伝えることは簡単なことではありません。親の視点から思う子供の幸せばかりが、子供にとっての本当の幸せとは限らない場合もあることを今になって強く感じています。

以上、幼児の英語教育について考えてみました。これからは世界に目を向けなければ、日本という国を支えていくことはできないでしょう。その分、同じ文化、同じ言語に守られてきた世界とは全く違う世界に出会うことになります。

素晴らしいことばかりではありません。厳しい現実を目にすることもあるでしょう。そういう全てを含めて、今の子供たちの将来に大いに期待し、世界に羽ばたく英語力をつけてもらいたいと思っています。

※最後に
幼児の英語教育において、絵本の読み聞かせから始める方法もあります。下記にオススメをまとめておりますのであわせてご覧ください。
» 絵本の読み聞かせで広がる親子のコミュニケーション【おすすめ洋書】 | e-Life

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