英語初級者が目指すTOEICとは。
TOEICは英語力の客観的指標となるテストです。高得点を取れば進学や就職の際に英語力アピールになります。決まりがあるわけではありませんが、英語力証明として履歴書に記入するなら600点以上、海外部門希望なら730点以上が目安と言われています。
最終的な目標をどこに置くかは個人それぞれですが、英語初心者を自認する人はまずは400点突破からステップアップの糸口をつかんでみてはいかがでしょうか。
ここでは、400点突破、さらには500点を目指すTOEIC初心者の人に、TOEICに関する情報と学習方法を10項目に分けてお届けします。
1.TOEICの基礎知識
引用元:Youtube
TOEICとはTest of English for International Communicationの略称で、英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価するテストです。
TOEICにはListening & Reading Test、Speaking & Writing Tests、Bridge Testの3種類のテストがありますが、一般的にTOEICと言われているのはListening & Reading Testのことで、読んで字のごとく、リスニングとリーディングのテストです。企業でも採用、昇進、海外出張の基準として、TOEICのスコアを活用している企業も多くあります。
英語力の把握に、英語力向上や学習の目標にTOEICを利用する人も増えています。
※2016年5月29日実施の第210回公開テストより出題形式が一部変更されました。このサイトの情報は変更後の情報です。
2.TOEICの概要及び構成
問題数 | 200問(リスニング100問・リーディング100問) |
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制限時間 | 2時間(リスニング45分・リーディング75分)のマークシート方式 |
テストの形式 | 問題説明、問題文、選択肢、全て英語 |
スケジュール | 1年に10回(1・3・4・5・6・7・9・10・11・12月)全国80都市で実施 |
申し込み方法 | インターネット コンビニ端末 |
受験料 | 5,725円(税込) |
TOEICテストはリスニングセクションPart1からPart4、リーディングセクションPart5からPart7で構成されていて、内容は以下の通りです。
リスニングセクション
Part1:写真描写問題(6問)
1枚の写真についての放送される4つの描写から正しいものを選ぶ。選択肢は印刷されていない。
Part2:応答問題(25問)
1つの質問または文章と、その質問または文章に対する3つの答えが放送され、ふさわしい答えを選ぶ。質問、文章、答えともに印刷はされていない。
Part3:会話問題(39問)
2人または3人の会話が放送され、問題用紙に印刷された設問(放送される)と設問に対する解答から最も適当なものを選ぶ。会話は印刷されていない。各会話に対し設問は3問、各設問に解答の選択肢は4つ。印刷された図などの情報と関連付けて解答する設問もある。
Part4:説明文問題(30問)
放送されるミニトーク(アナウンスやナレーションなど)を聞いて、問題用紙に印刷された設問(放送される)と設問に対する解答から最も適当なものを選ぶ。ミニトークは印刷されていない。各トークに対し設問は3問、各設問に解答の選択肢は4つ。印刷された図などの情報と関連付けて解答する設問もある。
リーディングセクション
Part5:短文穴埋め問題(30問)
4つの選択肢から一つを選ぶ穴埋め問題
Part6:長文穴埋め問題(16問)
4つの選択肢(単語、句、文)から一つを選ぶ穴埋め問題。各長文に設問が4問。
Part7:1つの文書(29問) + 複数の文書(25問)
印刷された文書を読み、設問の解答から最も適当なものを選ぶ。一文を挿入する適切な箇所を選ぶ設問もある。各文書に設問が複数問ある。
3.TOEICの結果について
引用元:なりたい自分になるまでのブログ
TOEICの結果は英検のように受験級に対する合格、不合格ではなく、セクション別スコアと合計のトータルスコア(5点刻み)で示されます。
- リスニングセクション5~495点
- リーディングセクション5~495点
- トータル10~990点
200問に対し半分できれば50%という正答数そのままの得点ではなく、統計処理によって算出された換算点です。結果は受験後約1ヶ月後に発送され、インターネット申し込みの場合は発送の約1週間前にインターネットでスコアを確認することができます。
4.スコアとできることの目安
引用元:prepa-HEC.org
TOEICのホームページにはスコアとできることの目安が掲載されています。
TOEICホームページ掲載の目安によれば、400~495点は「看板を見てどんな店か、どういったサービスを提供する店かを理解することができる」ということです。「看板くらい見ればわかるよ」という人も多いのでは?
語学系の学部ではなかったし、もう何年も英語は勉強していないという人でも、中学高校と一通りの英語は学習してきているはずなので、もう一度基礎英語を復習し、TOEIC対策をすれば400点突破は難しいことではありません。
英検とTOEICスコアの換算表なども色々なところで見かけます。あまりその表示に惑わされない方がいいと思いますが、英検3級の力があれば400点突破、英検2級なら500点突破を最低の目標として勉強をすすめてもらいたいところです。
5.TOEICの平均スコア
引用元:GAHAG
TOEICの平均点は、テスト形式が変更になった第210回(2016年5月)の結果を見てみると、リスニングセクションが316.2点、リーディングセクションが255.9点、トータルスコアの平均点が572.1点という結果でした。大体この前後で推移しています。
平均点が500点後半なのに、400点突破が目標なの?と思うかもしれませんが、この平均点はTOEICのために勉強をしてきたTOEICを受験する必要のある人達の平均点ですから、比較的英語が得意な人の平均点だと思って下さい。とは言え、2013年の結果データを基に発表された500名以上受験者がいる国の平均スコアのランキングは、48ヵ国中40位だそうです。少し残念な結果ですね。
6.TOEICスコア400ってどのくらい正答すればいいの?
引用元:TOEIC&英検1級満点ブログ
目標スコアを400とした場合、リスニングとリーディングで何点ずつ取ればいいのでしょうか。
得意、不得意もありますので、一概には言えませんが、リスニングとリーディングの平均点を、上記で紹介した第210回の結果でみてみると、リスニング316.2点、リーディング255.9点と約60点の差があることがわかります。
リスニングとリーディングでは、いつもリスニングの方が50点前後平均点が高くなっています。取得したスコアが低ければその差は狭くなるかもしれませんが、リスニングのスコアがリーディングに比べ良かったからといって、残念ながらリスニングの方が得意という意味ではありません。リスニングとリーディングのスコアがほぼ同じだった場合、同じスコアを取った他の人より、リスニングが劣っているが、リーディングはよく出来ていたと考えることができます。
目安となりますが、トータル400点を目指すには、リスニング230点前後、リーディング170点前後を取る必要があるということになります。
では、リスニング230点前後取るには難問正解すれば良いのでしょうか?
統計的に換算されるスコアのため、何問で何点と決まっているわけではないので、予想の範囲になりますが、リスニング230点には50問前後、リーディング170点取得のためには45問前後の正答数と予想されています。
こんな風に言われると、怯んでしまう人がいるかもしれませんが大丈夫です!500点あたりまでは、英語が不得意な人でも、努力すれば行きつけるスコアです。もちろんその先も。焦らずに、まずは確実に400点突破を目指しましょう。
7.TOEIC受験で苦戦する理由
引用元:GATAG
ここでは、350点以下の人、400点突破を目指す初級者の人のためのTOEIC受験準備についてお話したいと思います。まず、TOEICが難しく感じる理由を考えてみます。
1.そもそも英語基礎力が足りない
2.今まで受けて来たテストと形式が違う
3.英語を聞くことに慣れていないので集中できない
4.時間が足りなくて最後まで解けない
もちろん、中級、上級になればもっと別の問題が出てくるのですが、初級者の場合上記のような基本的な部分が大きな問題になってきます。英語基礎力をつけることはもちろんですが、TOEICを目標とするのであれば、TOEIC用の勉強を進めることでTOEICの形式に慣れながら英語力の底上げを図ることをお勧めします。
8.TOEIC受験に大切なポイント
引用元:White BG
目標数正答するために、英語学習以外の大切なポイントを説明します。
TOEICは全て英語で、問題に使われるのはビジネス英語がほとんどです。親子の会話や子供の日記のような英文は出題されません。そのため、聞き慣れないオフィスでの会話や、社内eメール、会社合併に関する記事などを読まなければなりません。使われている単語も学校で勉強してきた単語とは少し違うと感じるかもしれません。
45分間のリスニングは、どんどん英語が流れていき、75分のリーディンは、一生懸命読んでも最後まで解き切れない人がほとんどです。
・すべての問題に解答する
TOEICは誤った問題について減点されることはありません。4択を4問適当に塗れば確率的には1問正解します。わからない問題も必ずマークしてから先に進みましょう。全部解いてから戻って考え直す時間はほぼないと考えて下さい。空欄にしておくと、解答がずれてしまうリクスもあります。最後10問くらい残ってしまうのはよくあることですが、時間を見て、終わりの合図の前に全部マークするようにしてください。
・迷わない
TOEICはスピードとリズムが大切です。特にリスニングは聞こえた単語の意味を考えているうちに次の問題、更に次と進んでいってしまいます。全部正解する必要はないのですから、諦めも肝心です。
・できる問題を確実に正解する
リーディングについても迷っている時間がないのは同じことです。問題の難易度は様々なので、上級の人にも難しい問題に時間をかけて悩むのは時間の無駄です。適当に塗って「当たっていればラッキー」くらいの気持ちで先に進みましょう。一番悩むのは「思い出せそう」な問題だと思いますが、止まって思い出している時間はありません。「知っている」「考えればわかる」問題に取り組みましょう。
・時間配分を考える
リスニングは嫌でも時間で流れてしまいます。リーディングは大体の時間配分を考えておきましょう。時間内にある程度ちゃんと読めるのなら別ですが、時間配分を考えずに、焦ってよく読まず、適当にただマークしている状態になるよりは、時間をかける問題、捨てる問題を明確にし、確実に正答数を上げることに努めてください。
9.初心者が得点しやすいパート
引用元:GATAG
- リスニングセクション Part1とPart2
- リーディングセクション Part5とPart6
上記が、初心者が得点を取りやすく、勉強もしやすいパートです。まずは、ここを中心に勉強を進めて下さい。
それ以前に、何より必要なものは英語の基礎力です。基礎に不安のある人は、基礎勉強からやり直してください。基礎といっても、語学学習に終わりはないので、どこまでやれば良いのか悩んでしまうかもしれませんが、最低でも中学レベル、できれば高校レベルの文法まで復習して下さい。まずは、完全に理解できなくても「どんな時制があった?」「分詞構文ってなんだっけ?」と思い出す程度でも構いません。
まず、現在の自分の力を知ることも大切ですが、英語が得意でない人が、いきなり一通り問題を解いてみようなどと思うと、心が折れてやる気をなくしてしまうかもしれません。ですので、最初はPartごとに勉強を進めることとお勧めします。時間を計って一通り解いてみるのは、ある程度各Partの形式やリズムを知ってからの方が良いでしょう。
10.TOEIC受験対策学習法
引用元:GATAG
TOEICを受験すると決めたなら、TOEIC用の参考書、問題集が必要となりますが、少しお値段が高めですが、公式問題集は1冊持っておくことをおすすめします。問題集の中には、本番よりも難しく作られていて、初心者向きではないものもあります。公式問題集は、レベル、放送、問題の体裁が本番同様です。
TOEICテスト公式問題集 新形式問題対応編
TOEICの参考書や問題集は迷うほど沢山あります。自分で実際に中身を見て、理解しやすそうなものを選んで下さい。第210回時の変更のような大きな変更でなくても、扱う文書の種類などが時代と共に変わってきています。
問題集や参考書は出来るだけ新しいものを購入した方が今の問題に近い問題が載っています。先を見越して中・上級者向けの参考書を買ってしまい、解説の意味が分からなければ意味がありませんので、最初はやさしく解説されている本を選びましょう。中・上級者になった時には、新しい参考書が出版されているはずですし、何より、自分自身がこだわりを持つようになっているかもしれません。
リスニングセクション
リスニングを鍛える学習方法としてシャドーイングやディクテーションといった方法があります。こういった勉強方法をTOEICの問題集で繰り返すことでリスニング力全体を上げていくことができます。
» シャドーイングとディクテーションの参考記事
ここでは、主にPart1とPart2について学習のポイントを紹介します。知らない言い回しもでてくると思いますが、難しい英文ではないので、必ず解答でスクリプトを確認し、動作を表す表現、位置を表す表現を確認してください。答えを覚えてしまっても、繰り返し確認しながら聞くことは効果的な勉強法です。
Part1の概要・ポイント・問題の解説
1枚の写真を見て、放送される英文から正しく描写されているものを選ぶ問題です。
- ポイント
写真をみて明らかなことしか問題にはなりません。
合っていそうでも写真から判断できないものは正解にはなりません。消去法を意識してください。写真から想像できる単語を使った誤った描写、また、想像できる単語に似た単語を使ったひっかけなどもありますが、全部にあるわけではないので、あまり考え過ぎず最初は素直に答えていきましょう。
- 易しい問題 人物が何かしている写真
ほぼ、人物が主語の英文が流れます。何かをしているのか、複数の人の立ち位置、男女の区別などに注意して聞きます。比較的正解しやすい問題です。
- 難しい問題 風景や物が置いてあるだけの写真
何を主語として聞いてくるのか想像しにくい問題なので、難しく感じます。風景や物の並び方や位置関係などに注目してください。
Part2の概要・ポイント・問題の解説
1つの質問または文章と、それに対する3つの答えが放送され、ふさわしい答えを選ぶ問題です。
・ポイント
このパートは、文頭に重点を置いて聞き取って下さい。
聞かれているのが場所(Where)なのか、時間(When)なのか、人(Who)なのか、Yes、Noで答える問いなのかがわかれば、答え文の想像がつきます。又、質問文で使われた単語と同じ単語、容易に想像できる単語を敢えて使った誤りの文があります。質問文と同じ音が聞こえたことで正解と迷った場合は、こちらは外して思った通りに解答しましょう。
・難しい問題
中には、答え方が少し素直でない問題があります。例えば「これはあなたの物ですか?」という質問に「はい」「いいえ」で答えるパターン以外に、「ジョンのです」「誰の物だか知りません」場合によっては「ずっとそこに置きっぱなしになっています」という答えもあるかもしれません。ミーティングの場所を聞かれて「3階のAルームです」という答え以外にも「今日のミーティングは中止(或いは延期)になったのよ」という回答もあり得ます。
Part3とPart4は、今の段階ではパートの対策というより、リスニング力全般を引き上げる学習をしながら、公式問題集などで少しでも、そのテンポに慣れるように練習を重ねて下さい。
このパートで得点するには質問文の早読みが重要といわれていますが、初級者にとっては簡単なことではありません。リスニングパートですが、問題文を速読するリーディング力が必要になってくるということです。できるだけ多く練習をして、どんな質問が多いのか慣れることを第一に考えて下さい。今の段階から質問パターンに慣れておけば、今後更に高得点を目指す際の早読みに必ず役立ちます。
リーディングセクション
リーディングセクションで、日本人が得意とする勉強で得点を上げやすいのはPart5とPart6です。受験勉強をした人には安心できる問題形式かもしれません。文法、文型を意識した勉強で得点アップを狙えます。
- Part5 短文の穴埋め問題です。文法力や語彙力が問われます
- Part6 長文穴埋め問題です。文法力、語彙力と長文読解力が問われます。
具体的な勉強方法としては、基礎文法を学習して、過去問や問題集で問題を解き、解説を読んで、その解説の意味を完全に理解するために文法書などを読み返すことで英文法への理解を深めることですが、自分でその勉強を続けるのは難しいことかもしれません。Part5、Part6対策の解説書も色々出ているので、そういったものを利用するのも一つの方法です。
このような、実際に問題を解きながら英文法の復習ができる参考書は、勉強の方向性を示してくれるのでおすすめです。これだけで600点は厳しいですが、英語基礎力をつけ、TOEICの解き方の基本を勉強することができます。Part5をしっかり勉強することで、英文法の基本を身につけることができますので、ここは手を抜かずに勉強して下さい。
Part7の対策としては、今の段階ではPart5とPart6の学習を通して、文法力や読解力を学ぶことを考えて下さい。もちろん英文を読むことに慣れる学習は有効ですが、一文単位で正しく意味を把握できなければ長文を理解するのは難しいことです。
Part7は、自分が正解できる問題にいかに正答するかが勝負です。広告文、新聞記事、イベント案内、社内連絡、就活に関するeメールなど扱われる文書は様々ですので、自分なりに得点しやすい問題、苦手な問題などを見極める力をつけ、得点できる問題に時間を使って確実に答えられるように努力して下さい。
必ずしも、一つの文書を読んで答える問題の方が、複数の文書から答える問題より得点しやすいとは限りません。
語彙
語彙の勉強も大切です。基礎レベルの単語、熟語は本1冊を繰り返し学習して覚えるようにしてください。更に、TOIECの問題集でビジネス英語の基本単語を学習してください。Part5に語彙を問う問題も出題されますが、難しい単語も多いので、そこまで無理する必要はありません。知らない単語はいくら考えてもわかりませんから、勘でマークして先に進みます。
文書を読んでいると設問と関係ない部分でも、ビジネス上でよく使われる単語が出てきます。例えば会社はcompanyだけでなくfirmという単語もよく使われます。budget(予算)やmerger(合併)、executive(会社の役員)なども語彙問題にはならないかもしれませんが、文書の内容把握には大切な単語です。ポイントとなる単語を、問題を解きながら自然と覚えていって下さい。
まとめ
引用元:Javiously photography
語学学習に近道はないと思って「急がば回れ」の精神で焦らず丁寧に勉強を進めて下さい。
TOEICはテクニックで高得点が取れるという人もいますが、初級者がテクニックだけで600点、700点取れるテストではありません。得点にこだわることは必要なことですが、基礎をおろそかにして、テクニックばかりを追い続けても先はありません。
ですが、350点の人がTOEICの問題形式に慣れ、400点以上取れるようになることは普通のことです。更に、400点の人が更に問題形式に慣れることで500点突破もそれほど難しいこととも思いません。形式に慣れたということは、英語に慣れ、英語力も上がったということだと思います。
そこから600点、700点となれば新たな壁が存在してくるのも事実ですが、今は英語基礎力をつけ、着実に一歩一歩上を目指してください。確かな基礎力はその後のステップアップの大きな味方となります。