【体験談】ホストファミリーの経験から『私たち家族が』学んだこと

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楽しいことばかりでないから学ぶことも多く、充実感もある。

日本人同士でも、他人を家庭内に入れることは大変なことです。異文化を持つ外国人ならなおさらのことです。お客様ではなく、家族の一員として普通に接することが大切とわかってはいても、やはり気を遣ってしまうものだと思います。

それも普通のことです。相手も気を遣っています。最初はお互いに本性(それほど凄まじい本性ではないでしょうが…)を見せていない部分もあるかと思いますが、いつまでも完璧な自分を演じていると疲れがたまってしまいます。だらしない部分や気取らない部分も隠さず、普段通りの自分でいることが大切です。

ただ、長年一緒にいる家族なら何も言わなくても理解できることでも、お互いの理解が不十分な間は、些細なことがトラブルの原因になってしまう場合もあります。言葉の壁もあり、相手が誤解して受け取ってしまったり、何が起きているのかわからない状況では不安になってしまいますので、必要に応じで、感謝の気持ち、状況説明、あるいは謝罪など、言葉に出すことを心掛けてください。

ここからは、私の体験談も含め、具体的な例をいくつか挙げながらお話したいと思います。

ホストファミリー体験談:文化の違いから生じうるトラブルの例

日本人は「遠慮しないで」「自由にしてね」と言われても、状況や空気を読みながら行動します。

例えば、から揚げが山盛りになっていて「どんどん好きなだけ食べて」と言われても、日本人の場合は、そこにいる人数や、他の人の食べるペースに気を配りながら食べる人が多いと思います。

ところが、海外の若者は、日本人より、言葉を言葉通りに受け取る傾向があります。なので、他の人のことを考えずに食べたいだけ、どんどん食べてしまうこともあります。「好きなだけ食べていい」と言われたのだから、本当に好きなだけ食べただけのことなので、責めることはできません。

同世代のホストブラザーやホストシスターにしてみたら面白くないですよね。この状況を放置していたら、ホストブラザーやホストシスターと留学生の関係が悪くなってしまいます。

お風呂の使い方の例

他にもお風呂場の使い方を例にあげると、日本の家庭は大抵、お風呂、シャワー、洗面所は一つです。海外では、夫婦のバスルーム、子供のバスルーム、ゲストのバスルームと何カ所かトイレ、シャワーがあるのが普通です。

その感覚で、お風呂場と洗面所を、鍵をかけたまま1時間近く占領されてしまうと他の人が困ってしまいます。留学生お気に入りの、香りの強いボディソープやシャンプーなどがたくさんお風呂場に置きっぱなしにされ、不快に感じたり、お風呂上りに脱衣所の床をビショビショにしてしまうなど、これまでの生活習慣の違いにより、思わぬことがストレスになってしまうこともあります。

ストレスをため込まないことが大切

上記のようなストレスを感じた時、食べたいものを自分の子どもたちに我慢させたり、ホスト側が我慢していると、そのストレスはどんどん溜まっていくものです。小さなストレスが溜まり、留学生を嫌いになってしまっては本末転倒です。

日本人は自分が我慢すればいいとか、少し様子をみて正されないようなら注意しよう、という考えを持ってしまいがちです。それでは、むしろ留学生に不信感を持たれてしまいます。日本人のその感覚が理解できない留学生は、これまで何も言われなかったのに、急になぜ今になって注意されるようになったのか?と感じてしまうことがあるからです。

気になることは、気になった時にその場で伝えることが、不要な誤解を招かないコツです。

から揚げのケースの場合は、次からは、「二人分だから分け合って食べてね」と伝えたり、場合によっては、少し面倒でも、「あなたの分よ」と別皿に分けたりする対応も必要かもしれません。バスルームの場合も、どうしてほしいのか(どうしてほしくないのか)をストレートに伝えて下さい。伝え方や表情は大切ですが、遠まわしに伝えても伝わらない可能性があります。ストレートに受け取ってしまう分、ストレートに伝えれば、ちゃんと理解してもらえるものです。

現代ならではの問題もある

数十年前、私が留学したころは、パソコンすらなかったし、国際電話はとても高かったので、家族との連絡は全て手紙でした。時間をかけて手紙を書くことで、自分の生活を振り返ったり、家族の温かさを感じたりできました。数週間後に返事が届くのが楽しみでした。

7年程前に娘が留学した時は、ノートパソコンを持っていきました。スマホもありましたが今ほどではなく、現地ではホストファミリーとの連絡用にホストファミリーが携帯電話(スマホではない)を用意してくれ、パソコンはリビングで楽しむように言われていたようです。それでも私から見たら、Facebookで様子を確認することができましたし、Facebookのメッセージ機能で簡単に連絡も取れることに時代の流れを感じたものです。

ところが、今は皆シムフリーのスマホを持ってきて、どこへ行くにも持ち歩いています。東京全体の土地勘など全くなくても、スマホで場所を確認し、友達と待ち合わせ、自由に行動しています。

日本の学生と同じですね。スマホがあることで安心できる面も大きいのですが、時差のある家族や友達と夜中まで話していたり、食事中でもSNSをチェックしたり、珍しいものを食べた時には、その場で写真付きで母国の家族に送ったりしています。家族と連絡を取ることを禁止はできませんが、日本の生活に馴染んでもらうためにも、留学生のスマホ依存度により、ある程度のルールを決めておく必要もあります。

若者には当たり前のことなのかもしれませんが、留学生を眺めのいい場所に連れて行った時、彼女はおもむろにSkypeを繋いで、アメリカの両親とその景色を一緒に楽しみ始めました。Skypeの向こうから“Oh my God! Amazing!”と景色を見たご両親の叫び声が聞こえてきた時には、その光景にこちらの方がAmazingと言いたい気分でした。

ホームシックはどうする?

私が預かった高校生の女の子は、17歳のアメリカ人でしたが、少し神経質で真面目な一面がありました。

ファッションやピアス、髪型や髪色(染めていました)などは日本の高校生とは全く違い、いかにもアメリカンなイメージの子だったので、日本人が見ると、元気一杯、イケイケな感じの子に見えるのですが、アメリカの高校生としては、個性の一つであって、その様な外見は決して派手なわけではありません。

最初に伝えた家庭のルールはしっかり守り、こちらからの提案も、疲れていてもすべて受け入れ、何でも一生懸命挑戦してみようという面もありました。

平日は日本語学校に通い、放課後は学校の友達(外国人)と東京の街をあちこちと毎日のように見て回っていました。疲れているようなので、週末はなるべくゆっくり休ませる時間も取っていたつもりでしたが、2週間程度が過ぎ、緊張が緩んだ時、慣れない電車通学、新しい人との出会い、賑やかな楽しい街、異文化環境での生活など、一気に疲れが出てしまったようで、食事中に少し元気がないなと思い「体調悪い?」と聞いた瞬間、みるみる涙が溢れ、泣き出してしまいました。

肩を抱いて慰め、彼女も「ごめん、ごめん」と何度も言いながら、結局その日は部屋に戻り、しばらく泣いていたようです。

日本での生活を元気に楽しんでいたのですが、今から思えば、疲れていても、私たちに気を遣わせないように頑張っていた部分もあったのだと感じます。留学生を迎える側も気遣いや不安がありますが、やってくる留学生は、迎える側以上に緊張しています。最初はお互いに様子を見ている部分もあり、最初の印象でその子の性格を決めつけて考えてはいけないことを実感しました。

その夜を乗り越えた後は、自分の力で立ち直り、お互いへの理解も、距離もグッと縮まりました。彼女は1ヶ月の滞在だったので、あっという間に過ぎ、これからもっと理解し合えると思った時にお別れになってしまった感じです。

良いところを認め、言葉で伝える

褒められたリ、感謝されて悪い気持ちになる人はいません。でも、努力を認めてもらえなければ、いつしか頑張ることをやめてしまうでしょう。困っていることをストレートに伝えることが大切なように、良いところは褒め、何かしてくれた時は「ありがとう」を必ずストレートに伝えて下さい。

日本人の学生は海外の学生に比べ、親や学校に厳しく管理されている傾向があると思います。その代わり、親や学校に守られているとも言えるでしょう。それが、いいとか悪いとかということではなく、海外の若者の方が自立しているイメージがあります。

家庭内のことでも、「何か手伝うことはありますか?」「これ運びましょうか?」「私がやりましょうか?」など、積極的に手伝う姿勢を見せてくれます。遠慮して、或いは、やり方を教えるのが面倒だからと、「気にしなくて大丈夫」と言ってばかりいると、しなくていいものだ、と思ってしまったり、家族の一員として認められていないと思ってしまうかもしれません。小さなことでも、頼み事をして、してくれたことに対して感謝を伝えたり、「いつも声をかけてくれて助かるわ。ありがとう」と伝えるなど、最初は丁寧にコミュニケーションを取るように心がければ、その後の関係を築きやすくなるでしょう。

駄目なことは駄目、困っていることは困っていると伝える

もちろん、自分勝手に感じたり、注意しても一向に直らず困らせる留学生もいます。自立心が強い分管理されているような気持ちになって不満を持ったり、家庭のルールを煩わしく思ったりする留学生もいるでしょう。

相手が高校生であっても、社会人であっても、何が不満なのか、どうしてほしいのかを、否定をせずにまずはじっくり聞いてあげて下さい、その上で、自分はどういう気持ちでそのような態度をとったのかを丁寧に話し、両者で、今後の解決策を話し合います。

例えば、相手が高校生や大学生で、こちらは慣れない日本の生活を心配して、どこに行くのか、何時に帰るのかを聞き出そうとしますが、留学生にしてみればそれを管理されていると受け取ってしまう場合もあります。

我が家の場合は未成年の女の子だったので、学校帰りに寄り道する場合はSkypeのテキストメッセージで構わないので連絡してもらい、夕食の時間に合わせ、7時までには帰ってくるように決めていました。

最初に東京は危険な町ではないけれど、あなたを元気にご両親の元に戻す責任があるから、連絡はどんな時でもとれる状況にしておいてほしいと伝えました。彼女は必ず連絡を欠かしませんでしたし、門限を破ることもありませんでした。「いつも連絡してくれるから、とても安心できる」と度々伝えました。

彼女は気遣いのできるいい子だったのですが、一つ注意したことは、脱衣所をビショビショにしてしまうことです。脱衣所のドアの目の前が彼女の部屋だったので、どうもシャワーの後は、タオルを巻いて、ササっと部屋に戻っていたようなのです。我が家には男性もいるので、脱衣所のマットの上で、よく身体を拭き、脱衣所で部屋着を着てから出るように注意しました。

言葉を通じて得られる影響

彼女はアメリカの高校で数年間日本語を勉強していたので、簡単な日本語がわかり、ひらがな、カタカナは完璧ではないにしろ読み書きができ、漢字も簡単なものを幾つか知っていました。

でも、やはり日本語を聞いて話すことはとても難しい状況でした。家庭内で英語が通じてしまう環境だったため、残念ながら英語ばかりを使いたがりました。そんな時は、英語が苦手な私の主人が、簡単な日本語(「今日はどこに行きましたか?」のような教科書に出てくるような正しい文法通りの短い文章)で話しかけ日本語を話すように促したり、日本語で答えるのが難しい時は、簡単な英単語を使って会話を先に進める努力をしたりしていました。

相手の言語で表現することの難しさを共有して、お互いを理解しようと一生懸命耳を傾けあっていました。

彼女が、面白かった話を興奮して、私に英語でまくしたてるようにおしゃべりをすることもありました。そんな時、主人は聞き取れないことが多かったようですが、一部でもわかった時には喜んでいましたし、なによりネイティブの英語をこんなに身近で聞いたことがないから圧倒された、と感動していました。

それは、私にとっても同じです。学習用DVDなどで聞くネイティブの英語のように聞きやすい英語ではないので、かなり一生懸命聞く努力をしながら聞きました。英語に関しては家族の中でもレベルに大きな差があります。でもそれぞれのレベルでコミュニケーションを取れる喜びを感じたり、未熟さを実感したり、今後の英語学習への姿勢にも影響を与えてくれました。

彼女も私たちに「○○は日本語で何ですか?」と聞くことがよくありました。ピッタリくる日本語がない場合もあり、色々説明することも勉強になります。逆に私たちから、「●●って英語で普通何て言う?」と聞いたりしてお互いに教え合うこともしました。

外国人ならではの感覚を楽しもう

何より、日本人とは違う文化や環境から来た人の考え方や感じ方を身近に感じることは、とても楽しいことです。

我が家は、平日はビジネスマンが多いオフィス街に住んでいます。朝の通学の電車の混雑や、駅から降りてくる会社員の人の流れなど、アメリカのドラマに出てくるような、美しい住宅街に住んでいる彼女からしてみたら、東京は忙しく落ち着きのない町で恐怖すら感じるのではないかと心配していました。ところが、彼女は「東京はどこもとても静かで落ち着く」と言うのです。

どういうことか聞いてみると、アメリカでは、道を歩きながら大声で歌を歌ったり、大声で話したり、踊りながら歩いている人までいるのが通常の風景で、とてもうるさくていつもイライラしているそうです。電車の中でも同じで、歌ったり、携帯で大声で話したり、迷惑な人がたくさんいるのに、日本の電車はみんな静かでとても驚いたそうです。朝の通学時も、あんなにたくさんの人が毎朝駅から降りてくるのに、みんな黙って静かに歩いていることが驚きだとも言っていました。

そこで私が感じたのは、その静かな環境だからこそ、日本では子供の泣き声などに敏感に反応して不満がでることがあるのかもしれないということです。アメリカではうるさいのが当たり前だから、子どもが泣いても誰も気にしないし、むしろ変顔したり、ふざけたりしてあやし始める人がいるくらいだ、と彼女は言っていました。

どちらが絶対にいいとは言えない色々なことを感じることができます。

まとめ

大切なのは、自分にプレッシャーをかけすぎずに楽しむことです。本当の家族同士でも、お互いに対する不満があるように、不満が起こって当たり前です。理想は、その不満が積もり積もって大きな爆発を起こす前に、慌てず火種を消しておくことです。くすぶっている場所を知っておくことが大切です。

ずっといい子、ずっと優しいだけのホストファミリーではお互いに無理が生じます。無理に気付いたときには、もう関係修復は難しなっている場合も珍しくありません。

いきなり数ヶ月や1年間などのホストファミリーを引き受けることは不安があるかもしれません。

まずは、体験型の週末1泊や2泊、或いは宿泊なしの1日だけというパターンもあります。そのようなホストファミリーから始め、できそうなら、数週間、1ヶ月、数ヶ月…と伸ばしていくのが理想なのではないかと思います。

異文化を家庭に入れると、大変なこと、驚くことも多いのですが、新たな発見や達成感など、得られるものも沢山あります。そして、皆さんの海外文化への理解が深まれば、益々英語学習への情熱も深まっていくことでしょう。

何度も繰り返してしまいますが、ホストファミリーは、決して楽しいことばかりでなく、大変なこと、やってきた留学生との相性よっては、嫌な思いをしてしまう場合もあることは否定できません。でも、何の不満もトラブルもなかったという家庭は、どこにもありません。それを乗り越え、信頼関係を築いたからこそ、固い絆で結ばれます。終わってみれば、トラブルの数より、多くの楽しみや驚きを与えてもらっていると感じられるはずです。

日本語や日本について多くを学んでもらい、元気に母国へ帰ってもらった時は、安心感と達成感、そして寂しさが残ります。留学生も自分たち家族も成長しています。お別れには、海外ドラマさながらのハグと涙が待っていますよ。

ホストファミリーの心構えやホストファミリーに求められるものなどについてはホストファミリーとは【心構えから受け入れ方法までを丁寧に解説】をご覧ください。

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