「字幕なしで映画を楽しみたい」これを英語学習の目的に掲げる人も多いかもしれません。でも、実際は字幕なしで映画を完璧に理解することは、英語が得意な人にとっても簡単なことではありません。
英語に不自由なく感じる人でも、共通の話題について、相手の目を見ながらお互いの理解度を確認しながらするおしゃべりと、一方的な講義などを理解するのでは難易度が違います。映画となれば、ストーリーの中で、他人同士の会話や気持ちの動きなどを第三者的に理解しなければなりません。日本語の場合で考えてみても、友だちと気軽におしゃべりしている時、講義などを聞いている時、映画を観ている時、それぞれ違う緊張感と集中力を持っていることだと思います。
映画の英語を難しく感じるのは、リスニング力の問題はもちろんですが、聞けたとしても、作品として仕上げるために、ウィットのきいたセリフもあるでしょうし、教科書では習わない会話ならではの英語や言葉の使い方、知らない単語のオンパレードになっているからだと思います。
私も、よほど難しいもの、俳優の発音に特有の癖があるものでなければ、大体のストーリーは追えますが、肝心なシーンの理解が十分でないと、核になる部分がぼやけてしまい不完全燃焼になってしまうことがあります。
そこで、今日は、「不完全燃焼でもいい!字幕なしの映画鑑賞にチャレンジしよう!」という提案をしてみようと思います。
【英語学習におすすめ】字幕なしの映画鑑賞にチャレンジしよう!
「不完全燃焼でもいい!」と言いましたが、もしかしたらこれは個々の性格で忍耐力に差がでる問題かもしれません。映画は画像があるので、シンプルな内容のものなら大体のストーリーは追えるものだと思いますが、言っている内容が完全にわからないとストレスを感じてしまう人も多いかもしれません。
でも、できれば最初は前知識なしに一度、字幕なし鑑賞にチャレンジして「わかった!」という気持ちを味わってもらいたいと思います。もちろん「わかったセリフ」と「わからなかったセリフ」、どちらが多いかと言われたら、「わからなかったセリフ」の方が断然多いでしょう。でも、「わからなかった」という部分より「わかった!」という部分に注目して下さい。
日本語の映画を観る時も、一語一句、「てにをは」まで意識して聞いてはいませんよね。もちろん日本語ネイティブだから自然と理解できるのですが、英語に関しても、英語をかたまりで捉えることに割り切って、その中で聞こえてきた単語で想像力を膨らませ「こんなことを言っているんだな」、或いは内容が理解できなくても「落ち込んでイジイジしているんだな」、「落ち込んだけど前向きになるきっかけをつかんだんだな」など、英語を雰囲気で感じるだけでもいいと思います。
「わからなかった」ストレスではなく、「わかった」喜びや楽しみを感じることが大切です。
とは言え、好きな俳優が出ているという理由だけで映画を選ぶと、何が何だかチンプンカンプン?という状況になってしまうかもしれません。
字幕なしの映画鑑賞にチャレンジする時は、探偵ものや医療関係、複雑な事件を解決していく物語などは向きません。シリーズもので、これまでの人間関係などの理解を必要とするものも難しいと思います。内容がシンプルで、子供でも楽しめる映画がオススメです。そしてあまり長くない映画がいいでしょう。
英語字幕なしで楽しめるオススメ映画3本
そこで、英語初心者の方が字幕なしで映画を楽しむのにオススメな映画を紹介したいと思います。
私なりに、英語初心者の方でも内容を追いやすく、泣いたり笑ったりできる映画を自分が最近鑑賞した映画から3本選びました。中でも一番オススメしたいのは、『僕のワンダフル・ライフ』です。
僕のワンダフル・ライフ(A Dog’s Purpose)
こちらは、英語の予告編です。まずは一度ご覧ください。
どうですか?わかりやすそうじゃないですか?
この予告編で、主人公の犬の名前(後ほどこの記事の中で出てきます)と、彼が大好きな飼い主の名前(あえてこの記事では書きません)をまず確認して下さい。登場人物の名前は、ストーリーを理解する上でとても大切だと思います。私は人の顔を覚えるのが苦手なので、暫くして再登場した時に「この人誰だっけ?」となってしまいます。この映画では、少年、青年、中年と時間の経過とともに、登場人物も成長して変わっていくので、ポイントになる登場人物の名前はつかんでおいた方が、同一人物を理解しやすいはずです。
この映画では、主人公の犬は生まれ変わる度に新しい名前をもらいますので、その名前も聞き取る努力をしてみて下さい。
この予告編だけでかなりの部分を網羅しているような気もするのですが、ネタバレにならないよう、予告編の範囲で簡単に説明すると、一匹の犬(ベイリー)が、生きる目的を見つけ、大好きな飼い主に再会するまで何度も生まれ変わるという物語です。
もちろん人間はセリフを話しますが、ベイリーは話さないので、ベイリーの感情はナレーション形式です。最初は以下のナレーション(ベイリーの台詞)から始まります。
What is the meaning of life? Are we here for a reason? Is there a point to any of this?
人生(犬生?)の意味について悩んでるベイリーが、原語タイトルの通り、生きる目的を見つけます。
色々な犬種、性別に生まれ変わるのですが、その度に出会う飼い主との絆や飼い主の生活が描かれます。100分という比較的短い映画の中で、飼い主とのエピソードが複数回完結していきながらストーリーが進むので、ストレスなく見続けることができます。
笑えるシーンについても、セリフのジョークで笑わせるというより、犬ならではの視点で笑わせてくれます。
予告編の中にも笑えるシーンがありますよね。
大切なコインを飲み込んでしまったベイリー 少年 :Come on, Bailey. Do it! ベイリー:What does he want from me? 少年 :Get out, get out!
何をしてほしいかは、映像とこのシンプルな英語でわかりますよね。
このベイリーのセリフ。よく見ると面白くないですか?「何をしてほしいの?」という意味合いを感じとれれば十分ですが、セリフとしては「(飼い主の少年は)自分(の身体)から(出る)何を欲しがってるの?」と言っているんですよね。
大人になった少年にガールフレンドができ、キスのシーンでは、人間のキスの意味がわからないベイリーの疑問にも耳を傾けてみて下さい。
他にも、女の子に生まれ変わったベイリーのとまどいも面白いです。
笑えるだけでなく、涙もかなりの量流すことになると思います。生まれ変わると言うことは、その前に必ず死ななければならないからです。鑑賞前にハンカチの用意も忘れずに。
多少、理解できないところがあったとしても、大切なストーリーは予告編を見ただけでもつかめるので(テレビCMなどで日本語版を見たことがあると思います)、是非字幕なしで楽しんでいただきたい映画です。
オススメの理由
- ナレーションが聞きやすい
- 100分の短い映画
- 生まれ変わる度に、短いストーリーが完結していくので苦にならない
- 笑ったり泣いたりできる
ただ、2017年12月現在、まだ日本語版の入ったDVDは発売されていません。2018年早いうちに発売やレンタル開始になるのでは、という予想もあるようですが、はっきりした日程はわかりません。日本語版があると甘えたくなってしまうので、発売前に英語版で何度か鑑賞してみてはいかがでしょうか。
英語版はこちらです。
原作は同タイトルの小説です。
日本語版は『野良犬トビーの愛すべき転生』
因みに、ベイリーのナレーションを担当しているのは、ジョシュ・ギャッド。こちらも字幕なしでの映画鑑賞にオススメ映画、『アナと雪の女王』のオラフ、今年公開され大人気となったエマワトソンの『美女と野獣』のル・フウを演じた俳優です。
これらの映画も初心者にオススメです。
更新情報(2018年2月14日)
2018年3月7日に日本語仕様のブルーレイ・DVDが発売されます。
ペット(The Secret Life of Pets)
次にオススメするのは、『ペット』です。こちらはミニオンズで知られているイルミネーション・エンターテインメントの製作です。
英語版予告編はこちら
なんとも動物たちが可愛くて、映像だけでも楽しめます。この映画も90分の映画なので、字幕なしで楽しむのに丁度いい長さです。予告編ではほとんどセリフがありませんが、本編は動物たちの会話でストーリーが進んでいきます。
ここでも、動物たちの名前、飼い主の名前は要チェックです。予告編でも、ペットたちの名前がでてきますね。ストーリーが進むにつれて、飼い主に恨みを持った元ペットの軍団が出てきます。もしかしたら、この辺のセリフは少し難しいかもしれませんが、細かい部分にはこだわらず、ペットたちの友情や、飼い主との関係に注目して単純に楽しんで下さい。
主人公の小型犬や一緒の家に後からやってくる大型犬の英語は聞きやすいと思います。
予告編の最初のシーンからも、主人公の小型犬の飼い犬らしい忠実さと、飼い主のことが大好きな様子が伝わってきます。飼い主の名前わかりましたか?
オススメの理由
- 見ているだけで癒される
- 画像がストーリーの助けになる
- ニューヨークの景色を美しいアニメーションで楽しめる
- 早口なキャラクターもいるが、主人公の英語は聞きやすい
- 約90分の映画
こちらは日本語版が販売されています。
ラ・ラ・ランド(La La Land)
最後に紹介するのは、これまでの2本より少し難しいかもしれませんがラ・ラ・ランドです。人気の映画なので、すでにご覧になった人も多いかもしれません。
字幕なしの予告編はこちら
夢を持った主人公が、悩みながら夢をつかむために前向きに生きていく少し切ないラブストーリーです。
女優を目指すミアと本物のジャズにこだわりを持つセブ。そこだけを押さえて、二人の愛の行方を追ってください。ストーリーは季節ごとに進んでいきます。
理解のために少しだけ補足すると、セブ(セバスチャン)は伝説のジャズミュージシャンであるチャーリー・パーカー(実在したレジェンドです)を尊敬していて、その時代のジャズにこだわりをもっているけれど、そのこだわりのせいで様々な葛藤があります。夢と現実の生活のはざまで二人の生活は…
セブは、いずれ本物のジャズを聴かせる店を開きたいと思っていて、チャーリー・パーカーがチキン好きだったことから、その店の名前を「Chicken on a Stick」にしようと決めていました。その時ミアが提案した店の名前(セブは納得していませんでした)が最後シーンのポイントになります。ミアの女優への道に関しての紆余曲折は、映画を観れば理解できると思います。
途中で度々流れる音楽も心地よく、ダンスシーンも楽しめる映画です。
その中から印象的な一曲を紹介します。
City of Starsという曲です。
二人の夢を感じさせながらも、切なさのあるとても美しいメロディーが、映画の中で効果的に流れます。
City of stars Are you shining just for me? City of stars There's so much that I can't see Who knows? I felt it from the first embrace I shared with you That now our dreams They've finally come true
歌詞も易しいので日本語訳せず、このまま感じた方が美しいですね。
全ての歌詞はこちらで確認できます。
オススメの理由
- ミュージカル要素を楽しめる
- ストーリーがシンプル
- 季節ごとにストーリーが進むので時間の経過も追いやすい
- 重要な脇役が少なく二人の夢と関係性だけを中心にストーリーが進む
この作品の良さは音楽なしには語れません。
『ラ・ラ・ランド-オリジナル・サウンドトラック』
まとめ
「字幕なしで映画を楽しむ」ことは、易しいことではありませんが、楽しみ方によっては難しいことでもありません。完璧にセリフを理解することはできなくても、作品から感じ取れることはたくさんあるものですし、同じ人間として、言葉を越えた共通の感情があります。ところどころでも、セリフのニュアンスをつかみ最後まで鑑賞できれば、字幕なしで映画を楽しめた喜びや自信にもつながるはずです。
易しそうでも、実際字幕なしで見ると難しく感じる映画がほとんどだと思います。字幕なしの映画鑑賞に挑戦するには、どの映画を観るかの選択も大切です。
「なんとなくわかった」「感動できた」と思える映画に出会い、英語を身近に感じて下さい。
一番大切なことは楽しみながら英語に親しむことです。